ARK: Survival Evolved Wiki
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サンティアゴは、未来から来た連邦軍のメンバーです。

探検家の記録(Extinction)[ | ]

サンティアゴの日誌#1 (Extinction)[]

NoteSantiago とにかく5秒でいいから全員黙ってくれないだろうか。最悪な状況だということは重々承知している、他の者もそうだろう。だからとにかく呼吸を整えてくれないか? 頼む。

ゲートウェイを通って地表にテレポートした時、最悪の状況は脱したと思っていた。だがいざ来てみると、この惑星自体が焼き尽くされていたことが分かった、まさに世界滅亡後に訪れた悪夢だ。出発点に戻ったと感じている者もいるようだ。

だが正確に言うと、それは正しくない。我々にはTEK装備、物資、テイム済みの動物、それにかなりの量の人的資産がある。自由に使える道具が山ほどあるというわけだ。あと私に必要なのはある程度のスペースと考える時間だけだ。これは新しい暗号なのだ、解読する必要がある。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#2 (Extinction)[]

NoteSantiago 店を開くのにピッタリな場所を見つけたようだ。前方にあるクレーターであれば、我々の望む全ての条件を満たしているはずだ。

メイ・インがペットを連れて偵察を行った。つまり少なくともパニックになっていない人間が私以外にもいたということだ。とはいえ、ステーションの自爆ミッションで「自爆」を買って出た彼女ならあり得る話だ。ディーには人を見る目があったということだ。

移動中にいくつか道具を組み立てた。そこまで複雑なものではない、基本的な装備品で、これがあれば新たな環境の調査をしやすくなる。重力、土壌、合成物、大気などだ。どんな結果が出るかは予想がついているが、確認は必要だ。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#3 (Extinction)[]

NoteSantiago 私の予想を越えるような数値も出たが、ここは間違いなく地球だ。年齢も同じで、自己完結的な泥の玉だ。

思っていたとおりだ。あのヘレナとかいう生物学者によると、私と同時代から来た人々は、あのステーションでは最も進化した人類のようだ。つまり彼らがそれほど遠くない未来に生まれる可能性がある。それに私の最後の記憶では、連邦とUREはまだ地球に存在していた。別に技術が足りなかったわけではない。原因は例の悪人ども、つまり政治家たちのせいだ。

彼らは1つの惑星を共有することすらできなかった。空間などもってのほかだ。人類は悪夢のシナリオとしてAIの神々を登場させるのが好きなようだが、機械に支配されるのであれば、私はこの荒廃した地球の大地ではなく、豊かな火星の景色を見てみたい。そう考えるとそこまで悪くない気もする。とにかく、支配された人類の運命がどうなるかは私にも分からない…
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#4 (Extinction)[]

NoteSantiago キャンプ・オメガの建設は順調に進んでいる。力を注ぎたいプロジェクトがあってもそれだけをやってるわけにはいかない。できることなら、居住区や馬屋や基本的な防衛システムよりもっと困難なことに挑戦したいが、今はこれで手一杯だ。

最近この工場はほとんど私がしきってるような状況だ。私以外に適任者がいないから仕方がない。私は自分の仕事をこなす。ただ下らない喧嘩やノイローゼに毎回邪魔されるのだけは我慢ならない。私には問題を解決するという重要な仕事があるのだ。

だから私は連邦を説得して、契約の一部としてあの山荘を与えてもらったのだ。私の小さな隠れ家。そこに存在するのは彼らが解読を必要とするパズルと私だけだ。まさに完璧だった。サウンドシステムも素晴らしかった。私の記憶が間違っていなければだが。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#5 (Extinction)[]

NoteSantiago 今の地球の状況についてヘレナと話し合ってみた。賢い女性だ。ここで会った誰よりも賢いかもしれない。だが私が彼女をぞんざいに扱ったり、不愉快な態度を取ったりしても、彼女はそのことに気付かないようだ。

彼女のせいではない。連邦の職員たちが必要な時にしか私を訪れなかったのはそれなりの理由があるのだ。彼らの地位がどれだけ高かろうが、私は臆することなく自分の意志を伝えた。彼らが私の意見を無視できないと知っていたからだ。彼らには私が必要だったのだ。

つまり、私と関わると面倒なことになる可能性があるということだ。ただしディーのような人間は例外だ。彼女は確かに技術者や科学者ではなかった。だが下らない話に関しては右に出る者はいなかった。あの赤毛の変わり者に会いたい。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#6 (Extinction)[]

NoteSantiago キャンプ・オメガは今のところ順調に稼働している、インフラ機能も完備している、十分な燃料も確保できた。それもかなりの量だ。

この惑星の地表はエレメントに溢れている。荒廃地の端まで何度か行っただけで、貯蔵庫がほぼ満杯になった。これだけの量を使って何をするつもりなのだろうか。

これほど多くのエレメントが存在している理由は分からない。我々の時代ではここまで簡単に手に入るものではなかった。もちろん、ステーションを構成するエレメントは全て他の場所から持ってきたものだ。理論上はこの都市が未発見の鉱脈の真上に建てられた可能性もある。これだけの量があればどんなに小さな村でも、一夜のうちに大都市に成長するだろう。もしそれが事実だとしたら、その坑道はどこにある? もう少し調査が必要かもしれない。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#7 (Extinction)[]

NoteSantiago 試算を行ってみた。我々は今、科学の常識を超越する世界に住んでいる。自然界に存在するエレメントの膨張速度ではこれほどの密度レベルにはならない。数千年間その成長を邪魔されなかったとしてもだ。つまり何かが異常な速度まで成長を加速させたということだ。この地域のデータが異常値であったとしても。私は「何か」と言っているが、ここに明確な答えがある。その答えは人間だ。

エレメントを燃料とする機器からは微粒子が放出され、それが大気へと戻り、やがて土に定着する。言ってみれば受粉のようなものだ、だがスケールは遥かに小さく、我々はそれを無視できるぐらいの速度でエレメントを消費している。微粒子を大量に撒き散らすには、エレメントを急激な速度で消費する必要がある。

エレメントを急激に消費するには、エレメントを用いた兵器で1世紀の間戦い続ければいい。ではその中で最も強力なのは? それは恐らく私の武器だろう。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#8 (Extinction)[]

NoteSantiago もちろん、それが武器でなかった可能性もある。どのみち、エレメントは日を追うごとに一般家庭の間にも広まっていた。確かに私は、密かにスパイとして企業に潜り込んだことが何度かある。可能かどうか試してみたかったんだ。奴らが侵入に無警戒になり始めたら…

いや、私は今ここにある事実と向き合う必要がある。別に私が規範的な人物だからというわけではない。私は自分が死を届ける技術を開発していたことを知っている。だがここまでやる必要はなかった。

とはいえ、私がオリジナルのサンティアゴのクローンだとしても私に責任があるのか?私は「私は」や「私に」と言い続けているが、彼の記憶を持っているのは私の責任ではない。それを受け入れたら私に何が残るだろうか?私は世界の終末の騎手かもしれないし、何者でもないかもしれない。この件は後で考えよう。やるべき仕事がある。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#9 (Extinction)[]

NoteSantiago また状況が変化した。あの洞窟の中で数体の巨大な怪物を見かけた。だが数時間前に出会った彼らは全員ドワーフだった。まだ先は長い。苦戦し続けている機械式ドローンの数も増えた。それに自分たちの戦力が急に頼りなく感じるようになってきた。

あの巨大生物はエレメントがもたらした突然変異のたまものなのだろうか。見方によっては、色々な面で面倒なことになりそうだ。まあそれならそれで構わない。彼らが障害になるなら、いつもどおり解決方法を見つけるだけだ。だからといって自分のアイデンティティを捨てるつもりはない。そうなれば受け入れるだけだ。

いいぞ、良い案が浮かんだ。なぜだか分からないが、最悪の状況になるといつも素晴らしいアイデアが思いつく。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#10 (Extinction)[]

NoteSantiago 巨大な二足歩行の戦闘兵器。

それこそが私の最終目標だと話すと、別に何かを期待していたわけではないが、誰もがぽかんとするか心配そうな顔で笑い出した。笑った奴らは私の協力を期待していたのかもしれない。だがそうはならなかった。

なるほど、そういうことか。ようやく分かったぞ。やはり思っていたとおりだ。自分のことをサンティアゴだと認めるなら、私はそれを受け入れるということだ。もし私のオリジナルが最先端の武器を使って世界に終末をたらしたのであれば、私はさらに進んだ武器を使ってそれを元に戻す。

炎で炎と戦うようなものだと言う者もいるかもしれないが、私に言わせれば巨大な銃で小さな銃と戦うようなものだ。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#11 (Extinction)[]

NoteSantiago 結局、妙案が浮かんだ者は他にいなかった。すでに歯車は動き始めている。格納庫では複数のチームに作業に当たっており、彼らが資源を回収している間、私は詳細を詰めることにした。

MEKの作成は、私の人生の中でも最も困難な仕事の1つになりそうだ。むしろこれが一番かもしれない。ゲートウェイ・プロジェクトのおかげで最初からオベリスクを使用できる。だがこれも全部自分のおかげだ。幸運なことに、私は記憶を映像として残すことができるため、ロボット工学に関してこれまでに学んできたことを全て思い出すことができる。つまりゼロから始めなくてもいいということだ。

しかも、これは私が一番好きな分野だ。大きなプロジェクトに関わっているといずれ燃え尽きてしまうと考える者もいるが、私にしてみればラザロのぬるま湯に浸かっているようなものだ。そのために人生を捧げられる。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#12 (Extinction)[]

NoteSantiago MEKのデザインがようやく仕上がった。有能なパイロットたちの能力と経験をベースにして、エネルギーソードを主要武器として強化し、高精度TEKキャノンに回していたパワーを少し減らした。

ただしこれは基本モデルだ。どのMEKにも拡張スロットがあり、パイロットの特製やミッションの種類に応じて部品を変更することができる。リアクティブシールドドームを使えばチームを守りつつ、強制的に近接戦闘に持ち込むことができる。ミサイルキャノンは後方支援武器として使用できる。肩に装備するミサイルランチャーは、「今すぐ地獄に送ってやる」と言いたくなった時にぴったりだ。

これだけでも頑張ったかいがあったというものだ、だが一番重要なのはここではない…
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#13 (Extinction)[]

NoteSantiago 私は資源を最大限に活用できるようにこのMEKをデザインした。1つだけでも圧倒的な威力を誇る戦闘兵器だが、組み合わせることで足し算以上の能力を発揮するようになる。つまり、我々には4つの武器を活かせるだけの資源がある。だがこの4つを接近させて結合させることで、より強力なMEKにすることができる、ということだ。その名もメガMEKだ。

都市を徘徊していたハンター/キラー・ロボットが持っていたテレポート機器をいじくっていた時にこのアイデアが浮かんだ。パズルのように物理的にMEKをリンクさせるのではなく、テレポートを経由して原子同士を組み合わせている。私の最高傑作であり、究極の戦闘兵器だ。最高効率のエレメントリアクターと最強のエネルギーソードを完備している。どれだけ相手が大きくても、この怪物には絶対に勝てない。

これを扱うことのできるパイロットがいればだが。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#14 (Extinction)[]

NoteSantiago 我々のこれまでの操縦経験はほぼゼロに等しい、だからできるだけ使いやすいコントロールを作ることを目標にした。

私が出した結論は、神経リンクとジャイロを組み合わせることだった。全身用のモーションセンサーで、私はベータレベルパイロットと呼んでいる。基本的に一度リンクすれば、MEKはそのパイロットの動きを模倣し、細かい点は自動システムが調整を行ってくれる。

だがそれだけでは終わらなかった。アルファレベルパイロット用に強固で軽量な複数のコンソールを追加し、神経系により強固にリンクするようにしたのだ。これで各MEKがより簡単にコントロールできるようになるはずだ。だがこれを扱うにはディーのようなイカれたパイロットが必要になるだろう。私でもその潜在能力を完全に活用できるような機械は作れない。ただ、ここにその力を引き出せるような者がいるとも思えない。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#15 (Extinction)[]

NoteSantiago MEKパイロット評価:候補者#004-メイ・イン・リー

確かに、パイロットの動きを模倣する簡略型コントロールを使うと決めた時、私はメイ・イン・リーのことを想定していた。これは同情心や馴れ合いなどではない、客観的に見て、近接戦闘では彼女が一番の実力者だ。それに面談した結果、戦闘経験が豊富な者は1人もいなかった。

彼女は戦術的な問題にも道徳的ジレンマにも素早く明確に回答した。後者については若干恐ろしい部分もあるが、我々にはそういうパイロットが必要なのだ。皆に危険が迫っている時にためらうような人物は必要ない。

問題は彼女の精神状態だ。彼女が今、どれほどの苦しみを感じているのかは私には分からない。だが戦いが始まれば、一周してすぐに興奮状態に戻るかもしれない。少し熱すぎるところはあるが、それでも彼女が最有力候補であることは間違いない。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#16 (Extinction)[]

NoteSantiago MEKパイロット評価:候補者#013-ヘレナ・ウォーカー

この候補者には実に驚かされた。これまでの経験から、ヘレナが危険な状況でも冷静さを保ち、即興ですぐに行動できるということは分かっていたが、面談でも見事にそれを証明してみせた。創造力があり、冷静沈着…そこまで攻撃的ではないが、メイ・インは4人必要ない。

彼女は実直だったが注目に値するほどではなかった。少なくとも彼女をプロトタイプに乗せて、そのシンクロ率を見るまではそういう印象だった。彼女は全ての値で限界値を記録したのだ!彼女の神経系が他の者よりも優れているのだろうか。これより高い数値を記録できる可能性もある。

彼女であれば、さらに進んだ技術との神経リンクを確立できるかもしれない。この件はまた後で検討するとして、どうやら、2番目のパイロットを見つけたようだ。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#17 (Extinction)[]

NoteSantiago MEKパイロット評価:候補者#022-タカヤ・カズマ

私が誰にも邪魔されずにテラン連邦に協力できたのは、UREがカズマのような間抜けな連中ばかりだったからだ。とにかく、うるさくて、不愉快で、独善的というべきか。世間知らずな連中だ。彼は面談で厳しい選択を迫られた。我々が犠牲を「やむなし」と考えていると知らなかったからだ。お利口な考え方だが、我々はここで生きて行かなければならないのだ。

私は自分の言ったことは守る。彼の記憶はアカデミーを出た直後に失われるかもしれない。だが彼は本物の軍事訓練を受けた貴重な人材だ。シンクロスコアもなかなかのものだ。おしゃべりなURE狂信者であろうがなかろうが、彼は残された選択肢の中では最も有力な候補といえる。私の個人的な偏見は関係ない。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#18 (Extinction)[]

NoteSantiago MEKパイロット評価:最終候補者-サンティアゴ

私がテスト目的以外で自分の作った物を使ってみたいと思うことはほとんどない。自分のアイデアが実現してしまうと、それが私のシステムから外れてしまったような感覚になり、そのアイデア自体に魅力を感じなくなってしまうというのがその理由の1つだ。そうすることでアイデアの純粋さが失われてしまうという気持ちもある。偉大な画家が自分の作品を壁に飾るだろうか?

残念なことに、今回は私に選択肢は与えられていない。私は誰よりもMEKに詳しい。そして私よりシンクロ率が高いのはヘレナだけだ。恐らく私がシンクロシステムを自分でテストしたことが原因だろう。間抜けなミスだ。どうやら仕事量が2倍になりそうだ。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#19 (Extinction)[]

NoteSantiago 構築がフェイズ3に到達した今、優秀な候補者たちとの面会時間をもっと増やさなければならない。MEKは今のところ誰でも使うことができる。だが特定のパイロットの特性と動きに合わせて調整すれば、その戦闘効率を最適化することができる。それに、彼らにはそのコントロール方法に慣れてもらう必要がある。

この作業に関してはあまり気が乗らない。私はコンピューターと格闘している人物を30秒見ただけで、そこを代われと言い出してしまうタイプの人物なのだ。しかもこれは私の最高傑作だ、インターネットブラウザではない。苦労することになりそうだ…
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#20 (Extinction)[]

NoteSantiago メイ・インはコックピットに慣れるのに苦労している。無理もない、古代中国にはこれを表現するための言葉すらないのだ。それでも彼女がくじけないのは、その持ち前の忍耐力のおかげだ。彼女ならいずれコツを掴めるだろう。

我々のセッションは非常に静かだ。これだけ時間があればさぞ親密な関係になっていると思うかもしれないが、我々の間には常にディーがいた。つまりメイ・インとはビジネス関係ということだ、彼女が苦しんでいようが、私がイライラしようが関係ない。

彼女と初めて雑談をしたのは彼女から練習に誘われた時だった、私もこれで晴れてパイロットだ。後に私の足が抗議を行ってきたが、次のセッションはかなり上手く行った。フレンドリーすぎず、雑談も多くなく、円滑に進んだ。まるで、奇妙にも、言葉を交わすことなく、非社交的にお互いを理解できたかのようだった。私はそこまで自信がないが、まあいいだろう。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#21 (Extinction)[]

NoteSantiago ヘレナのセッションはフラストレーションのたまる内容となった。彼女のシンクロ率が1桁台に落ちることは一度もなく、誤りを指摘すればしっかりと理解してくれる。だがなぜか、いざ実行する段になると彼女は壁にぶち当たる。

彼女も皆と同じように努力している。しかも適当にあしらうのがためらわれるほど、人を助けたいという思いが強い。そのせいか、彼女がかなり後れを取っていることをどうにも言い出しづらい。彼女は棒の先についたニンジンのような、もっと分かりやすいことに集中する必要があるのかもしれない。

彼女は前から、ステーションの裏に隠された真実を突き止めたいと言っていた。先日、私のスキャナーが異常なシグナルを検知した。私は人生の相談役にはなれないが、これは使えるかもしれない。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#22 (Extinction)[]

NoteSantiago あのニンジンはかなり効果があった。荒れ地で受信したシグナルのことを話した途端、まるでヘレナの脳内にある第2のリアクターが起動したかのようだった。このシグナルが本物かどうか分からないし、答えが見つかる可能性も未知数だ。だが彼女はそれに飛びついた。

私は彼女の熱意に圧倒され、思わず必要以上のこともしゃべってしまった。クローンの件や過去に対する我々の責任の有無ついて話題にするつもりはかった。だが私にはその悩みを打ち明ける必要があったのかもしれない。それが助けになったかどうかは分からないが。

とにかく、次のMEKセッションが始まるころには、ヘレナはすっかり調子を取り戻していた。後になって考えてみると、彼女は自信がなかったのかもしれない。自分のシンクロ率はただの偶然でしかないと自分に言い聞かせていたようだ。しばらく批判は控え目にしたほうがいいかもしれない。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#23 (Extinction)[]

NoteSantiago 少なくとも私自身のセッションは順調に進んでいる。今でも自分の作品に乗って戦いとは思わない。それでも格納庫にいるのが私とMEKだけになった時だけは、本当にリラックスすることができる。

私はただ単に長時間働いているだけではない。私はゲートウェイ・プロジェクトでもかなりの時間を費やした。その前のTEK爆弾の時もだ。今の私は長時間働くと同時に、他人の相手もしている。しかもずっとだ。パイロットセッションは改善されつつあるが、それ以外のことも私がやらなければならないのか?

「サンティアゴ、水道管が壊れた。サンティアゴ、誰それが弾を無駄遣いしている」常に邪魔が入る。

コックピットに隠れてしばらく眠りたい気分だ。恐らく誰にも見つからないだろう…
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#24 (Extinction)[]

NoteSantiago なぜ上手く行かない! 私のテレポートシミュでは、MEKのパワーシステムは完璧に融合する、それなのになぜリアクターが止まってしまうんだ? エラーの発生理由が分からない。だがそれを無視してそのエラーがもし正しかったら、融合プロセスによって壊滅的なリアクターのメルトダウンが引き起こされることになるだろう。

ありえない!この計画は道半ば頓挫してしまうのか? これがこの計画全体で最も重要な分岐点になるのか?

故郷にいる時はこんなミスは絶対に犯さなかった、だがそれは恐らく、オリジナルのサンティアゴが私よりも優秀だったからだ。私が近似値的な存在でしかないとしたら、劣化した部があるのかもしれない…いや、私ならどうにかなる。いつもそうやってきた。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#25 (Extinction)[]

NoteSantiago シミュレーション157Bはまた失敗した。エラー612-A4、いつもどおりだ。リアクター結合にほとんどチャージされない。

プロジェクトの失敗経験はある。だがこんなのは初めてだ。しかもこんな壮大なものではなく、ゴール間近での失敗しかなかった。なぜこんなことになるんだ? これは私の長い人生の中でも最高傑作だ。このままだと私の評判が台無しになってしまう。何としても実現する必要がある。そうしなければ太陽の周りを回る死んだ石の塊が私の遺産になる。

さらに30回シミュレーションを行った。寝るまでにもう30回シミュレーションできそうだ。もし他のエラーが発生したら、その変数の影響を受けている部分の隔離作業を始められる。とにかく私に仕事を与えてくれ、何でも構わない。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#26 (Extinction)[]

NoteSantiago あの愚か者たちがあんな趣味の悪いことをするとは思っていなかった。そこまでして私に嫌われたいのだろうか。

何のシミュレーションをしていたのか覚えていないが、私はついに意識を失った。そして気が付くと、「緊急事態」に対処させるためにヘレナとカズマが私を引きずっていた。私が寝ぼけていなかったら、彼らが嘘をついていたことを見抜いていただろう。だが現実はそうではなかった。そしてケーキを見た時に初めて理解できた。

今日が何日なのかは誰もはっきりとは分からない。だが皆によって今日が6月26日、つまり私の誕生日だと決められたようだ。彼らによると、それが理由で私は今日は働けないとのことだった。私はできの悪いケーキを食べて、「楽しむ」必要に迫られた。死にたい気分だ。

まあいい。ケーキはそこまで悪くなかった、それに多少は「楽しむ」ことができた。ただ彼らにそんなことは言えない。そんなことをすれば私の評判はがた落ちだ。あの愚か者たちめ…
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#27 (Extinction)[]

NoteSantiago エネルギーフローの問題があれほど簡単に解決できるとは思っていなかった。誕生日委員会に一日中拘束された後、仕事に戻ってから数時間の内に解決してしまったのだ。つまり私がすべきことは、いったん距離を置き、新たな視点から見直すことだったのだ。

それ以降、全てが順調に進んでいる。パイロット訓練はもう少しで完了するし、部品の大半の組み立ては終わっている。それにチーム全体の作業効率もピークに達している。カズマですら文句の付けようのない仕事ぶりだ。

勘違いはしないでくれ、彼らは今でも世間知らずの間抜けだ。それでも、彼らは私の世間知らずの間抜けなのだ。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#28 (Extinction)[]

NoteSantiago MEKの構築が最終フェイズに入ったため、私はパイロットチームにちょっとした報酬を与え、メガMEKの融合プロシージャをシミュレートすることにした。実際に行うにはまだ数週間かかるだろうが、このシミュレーションは非常に精度が高い。

予想より良い結果が出た。3度目の実験で完全に連携が取れた。誰が体のどのパーツを動かすかということについて、冗談めかした話し合いをしたことが功を奏したようだ。メイ・インはソードアームのスイッチを切ることを頑なに拒否し、ヘレナは説得されて足の担当から外された。そうでなければ我々が踏み潰されてしまう。

技術者の道義に反していることは分かっている。だが今はこれを自分で動かすのが楽しみになってきた。純粋さなどどうでもいい。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#29 (Extinction)[]

NoteSantiago 早すぎる。こんなに早く見つかるとは!我々が目にしたあの巨大な怪物たちこそが、このMEKプロジェクトを進めるきっかけとなった生物なのか? 奴らの一部がキャンプ・オメガの方に向かって行った。しかも機械式ドローンや変異動物などを引き連れていた。

できるだけ早く動く必要がある。だが夜通し作業を進めたところで、奴らとの戦いにはMEKを1つしか使用できないだろう。ツートップだ。他のMEKも完成間近だが、最終起動プロシージャを省略すればパイロットを危険に晒すことになる。彼らならそのリスクを受け入れるだろうが、私にはできない。

なぜ今なのだろうか? あと半日あればリンクアップできたはずだ。我々はあと一歩のところまできていたのだ。
~ サンティアゴ

サンティアゴの日誌#30 (Extinction)[]

NoteSantiago 1台のMEK、それが我々の全戦力だ。こうなったのは私の機械をベータテストに使用していたからだ。私だけで片付けられるとは思わない。歩兵のサポートがあったとしてもだ。だが今すぐ出発して奴らの注意を引き付ければ、他の準備が整うまで時間を稼ぐことができる。

残念なことに、我々にはこのMEKに代わるような資源がない。それにこれを使わなければ私の最後の作品を完成させることはできないだろう。できれば完成した姿を見てみたかった。だがそれ以上に、全てが融合した瞬間を見られないのが残念だ。その時にはこの一風変わった小部隊が史上最強のチームへと生まれ変わるだろう。

とにかく、これであの愚か者たちの生き残れる可能性が少しでも高くなるのであれば、私はそれにかけてみようと思う。何と言われようと、彼らは私の間抜けたちなのだ。
~ サンティアゴ

Genesis 2 クロニクル[ | ]

Genesis 2 クロニクル #15 (Aberration)[]

NoteSantiago 後世のため、ここに私の持つ情報を記録として残しておこうと思う。よく聞いてくれ。君のいるこのARKは毒に侵されている。

システム全体がすでに崩壊しているんだ。君は何としても地上に辿り着き、私たちを見つけ出さなければならない。いいな?

ああ、これで私たちの計画がうまくいけばいいんだが…

~ サンティアゴ

Genesis 2 クロニクル #17 (Extinction)[]

NoteSantiago 地球におかえり。

君がこれを読んでいるということは、私はどうやら失敗したみたいだ。

だが、これを読めているということは、生存者が最低あと一人は残っているということだ。

…この世界は元々こんなひどい有様じゃなかった。

ともかく、まずタイタンたちから身を守れるようなシェルターを探すんだ、いいな?

個人的なメモ: ああ、そうさ。今やタイタンがこの星の支配者だ

~ サンティアゴ

Genesis 2 クロニクル #18 (Extinction)[]

NoteSantiago 誰かがまだこれを読んでくれているのか。

よし。

君にとって今一番分の良い賭けは、キャンプ・オメガに行き、可能であれば私の仲間を見つけることだ。

彼らは良い人だ。そして彼らはどんな小さな助けでも必要としているだろう。

そこで彼らにMEKの操縦技術を教わるんだ。

タイタンを止めて、世界を救ってくれ。

それだけが私の望みだ。

個人的なメモ: 火にはより大きな火をぶつけて立ち向かえ…

~ サンティアゴ

Genesis 2 クロニクル #19 (Extinction)[]

NoteSantiago ARKで見つけたクローン工場から、私はまだ精神的に立ち直れていないみたいだ。

ネタばらしになってしまっていたらすまない… 説明すると長くなる。

つまるところ、君の肉体や記憶は本来のものではない。 作られたものだ。 今まで何人のサンティアゴが作られてきたのか、神すらも知らないだろう。

もしかしたらこれを読んでいる君ですら私なのかもしれない。世界の果てで、自分の書いたメモを自分で読んでいるなんて… はあ… なんとも気の滅入る考えだ。

個人的なメモ: ホールステッドの密造酒が今すぐ飲みたい。

~ サンティアゴ

Genesis 2 クロニクル #20 (Extinction)[]

NoteSantiago 私はキャンプ・オメガのためにいくらか時間を稼げただろうか。いや、稼げたと思いたい。

君がこれを読んでいる頃には、全てが終わっているのかもしれない。あのバカたちは、うまくやってくれただろうか。

もしかしたら、君は実際にその場にいたのかもしれない。

もしかしたら、君こそがまさにその救世主だったのかもしれない。

いや、今だけはそうだと思わせてほしい。

私にはその結末を見届けることはできそうにないんだ。

だから…最後に言わせてくれ。ありがとう、我が友よ。

個人的なメモ: D、すぐに会おう。

~ サンティアゴ

Genesis: Part 2[ | ]

サンティアゴの記録#1[]

NoteSantiagoGenesis2 このニューラルアップリンクには本当にうんざりだ。

無意識下での思考の記録など必要ない。

行動する前に、エントリーはすべて確認しておいた方が良さそうだ。

分かった分かった… 始めよう。

私はGenesisの現場にいる。

以前はチームの一部を率いていたが、このプロジェクトは… 別だ。

地球上に存在していたすべてのものと人を再現する試みなど、どうやって説明すればいい?

規模が大きすぎて、連邦政府がUREと連携するぐらいだ。

今のは少し皮肉が過ぎたか。

これにアクセスする者へ。私はこのプロジェクトの重要性と深刻さを承知している。

このメッセージをボトルに詰め込み、すべてが終わる前に船外に投げ出す時間もない。

世界規模の絶滅劇に直面して、エレメント戦争で争っていた両者が協力し合うのも無理はない。

ただ、生きている間にその瞬間に立ち会えるとは思ってもみなかった。

~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#2[]

NoteSantiagoGenesis2 こんなプロジェクトを率いようだなんて、無謀だった。

確かにプロジェクトの概要を把握はしていたが、一光年先まで飛んでからようやく全貌が把握できてきた。

何とか追いつこうと彼らの書類を必死に読み進めてるが、自分にもユマほどの処理能力があればと願うばかりだ。

…言い忘れていたが、今は彼らの内の1人の元で働いてる。ユマという名のトランスヒューマンだ。

10年以上前の自分が今の自分の姿を見ることさえできればよかったのだが。

建前上は何年も平和が続いてるが、事態は受け入れがたいほど急速に変化している。

自分がなんでこんなことをするはめになったのかすら思い出せないほどだ。ついこの間まで自分を殺そうとしてた連中のために働いているなんて。

敵に言われていた内容について、テラン連邦のお偉いさんどもが今になってようやく認めた… 我々の星は、もう末期状態らしい。

逃亡計画のためにトランスヒューマンの手を借りるほど、否定しがたい証拠を突きつけられていたということだろう。

~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#3[]

NoteSantiagoGenesis2 とんでもないスケールの話だ…

決断を下すにあたって不確定要素を洗い出そうとしているが、ドツボに陥っている。

自然のバックアップを作るために必要な物など、一体どうやって算出しろと言うんだ?

他の惑星に移住するときは、一体何を持っていけばいい?

そもそも我々は、まだろくに宇宙探索もできておらず、地球外生命体が存在するという証拠のアミノ酸数種やクロロフィルの痕跡すら持ち帰れていない…

他にも誰かが存在するという確かな証拠があればいいんだが。

証拠さえあれば、こんな風に感じずに済む。宇宙で空を見上げて星々に思いを馳せている存在の命運は、すべて自分に懸かっているだなんて。

だが、トランスヒューマンの考えは違うみたいだ。

すまない… 私は迷信深くもなければ信心深くもないんだが… 上手い言葉が見つからない。

アップロードする前に少し頭を整理しよう。

~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#4[]

NoteSantiagoGenesis2 当初、超人間主義は現代医学を否定する昔ながらの代替医療行為のようなものだと思っていた。奇跡的に発見されたエネルギーがあらゆるテクノロジーに力を授け、それを変わり者たちが楽しんでいるのだと。

ファヴェーラでメディア放送や警察のシステムにハッキングしていた頃は、私も同じようにテクノロジーに秀でていると思っていた。

しかし、彼らが脳の改造や神経機能の代替を始めたとき、私はそれらを理解しようとするのをやめた。

だからと言って、取り締まりに賛同していたわけではない…
自らのインターフェースポートから姿を消し、無限と交わりたいと願うなら、勝手にすればいいと思った。

それが原因ですべての人が戦争に巻き込まれることになるとは想像もしていなかった。

プロジェクトパートナーのユマなら、エレメントは、より高次元の力がどこかに存在し、私たちに届けようとしている何よりの証拠だと言うはずだ。

仮にそれが星々からの神秘的な贈り物なのだとしても、私たちはそれを無下にし、故郷を追われたということになる。

私に至っては、それを動力源とする武器の設計に携わっていたのだ。

~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#5[]

NoteSantiagoGenesis2 ユマにチームリーダー数名の選出を迫られている。そこでユマの候補者名簿をスキャンしてみた。

すると、「エネルギー化合物の環境移行」というアレシャの論文が目に飛び込んできた…

私は、戦場を永久に汚染してしまった軍需品を設計したのは自分だという事実に、夜も眠れずにいる。だからこそ中央司令部に推薦する人物には、エレメントによる汚染からバイオームを守る方法をしっかりと理解しておいてもらいたい。

アレシャはテラン連邦軍に口が利くという点も、デメリットにはならない。

それに、エングラム復元プロジェクトはやり手のヨンキが担ってくれれば安心だ。

熱心な人道主義者だから、あの才能は天賦のもので能力強化によるものではないと断言しても差支えないだろう。

ユマや彼女の仲間に反感を持っているわけではないが、ブレインバンクの作成は普通の人間に任せたいところだ。

今回は… アップロードを待った方がよさそうだ。むしろ、私が責任を持てる新規エントリーを除いて、今後のジャーナルはすべてローカルに保存することにしよう。

~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#6[]

NoteSantiagoGenesis2 正直に言うと、このプロジェクトは名前ですら気に障る。

「Genesis」など、超人間主義者が私たち異教徒を改宗させるために持ち出す、恐れと憎しみを請うような神性をはき違えた者が使う言葉だ。

これが公開されれば、私たちを黙らせるための暴徒が組織されるだろう。

人々の先祖の骨は掘り起こされ、文化的な感受性を持たない研究者によってDNAシークエンシングがなされたと知った時の反応を誤った…

地球に存在したことのあるすべての人間のアーカイブを作りたいとなれば、一体結果につながるのだろう?
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#7[]

NoteSantiagoGenesis2 この前の出来事をきっかけに、私は超人間主義者の考え方を理解しようとしている…

このプロジェクトを成功させるのであれば、私たちの中の狂信を大義に変える必要がある。自分たちの子供に信じさせることのできる真の信奉者にならなければ。

この夢物語のために、人々やその子孫にまで人生を捧げるよう説得する方法は他にない。

この作業は、遠い子孫がその中で祈ることができる大聖堂の基礎を組み立てるようなものだ。

その日が来るまで、地球またはその他の場所で生活を再構築するこの計画は、私たちに残された最後の宗教となるだろう。

私たちのアーカイブを最終的にどちらに移すことになるかは分からないが、星間コロニー船や衛星の箱舟の群れが打ち上がる瞬間に、間違いなく私は生きてはいない。

したがって、将来その瞬間に立ち会う人々のため、何を犠牲にしてもプロジェクトを成功させなければならない。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#8[]

NoteSantiagoGenesis2 私は何週間もの間、生態系の包含について総意を得ようとする生態動物チームから抜け出せずにいた。

自然を再現するために必要な陸生生物の最小量はどれほどか?

残ったのが人間、鶏、ミツバチ、ナマズ、藻類、アルファルファ、酵母、そしていくらかのうずら豆だけだとしたら、それで地球上の生命を救ったと言えるだろうか?

これまでに存在したあらゆる生命体を保護することまでは期待していないが、初めの段階で見落としていた可能性を考慮すると、絶滅したかどうかによらず、可能な限りバックアップしておくのが賢明だ。

ヒト科動物が動物を飼いならし始めた時代に翼竜がまだ存在していたとしたら?

その場合、環境災害を乗り切るためのより良い装備を整えた文明が形成されていた可能性がある…

これは、過去に存在したすべての人間の心と体をアーカイブするため、先行グループが用いているものと同様のアプローチだ。

一部の女戦士により良い視力とより強力な免疫系があったとしたら?

彼女がマンモスを飼いならしていたらどうだろうか?
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#9[]

NoteSantiagoGenesis2 バイオームの保全の行き詰まりを解決する唯一の方法は、ヨンキにGenesisエンジンの変種を作ってもらうしかないという結論にようやく達した。

予定よりもはるかに前倒しで雑なシミュレーションを頼むことで、彼のチームに大きな負担をかけることは理解しているが、物理的なものを構築するコストと比較すれば大したことではない。

彼のシミュレーションがあれば、より極端な案を除外し、ほぼすべての人が同意できる居住地のバランスを見出すことができるはずだ。

しかし、ヨンキのチームが不可能を乗り越えられず、専門家たちが声を荒げ合う中では、おそらく私の片頭痛が治ることにもないだろう。

あの子には大きな借りがある。

初期段階でも、彼のシミュレーションは本当に没入感が高く、休眠状態であっても入植者を訓練できる可能性を垣間見せた。

理想は、新たな故郷にたどり着くときに、彼らが必要な能力をすべて備えた上で目覚めることだ。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#10[]

NoteSantiagoGenesis2 ユマは意外にも、私がオフィスに戻って来て喜んでいるようだった。

そして、夕食を食べながらバイオーム決定に関する詳細な状況報告を行うよう頼んできた。仕事を早く切り上げてごちそうを食べられると考えた私は快諾した。

正当な労いだと思った。私は線虫の多様性に関する議論を終結させたのだから。

ポブラノをまぶしたリブアイステーキとメルローを口にしながら愚痴をこぼすと、ユマは歯を見せて笑いすらした。

彼らが笑えることすら知らなかった私にとっては、一種の勝利のように感じた。

ヨンキがバーで一人で飲んでいたから、呼び寄せて知覚前景化問題は解決できたか聞いた。

あの子は私たちに緊張しているようだった。トランスヒューマンとの付き合いは私よりも長いはずなのに、なぜだろう?

ユマはヨンキの落ち着きのなさに気付いていなかったのか、礼儀としてあえて口に出さなかったのか、あるいは気にもかけてなかったのか、それは分からない。

まあいい。

引き続き見届けようと思う。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#11[]

NoteSantiagoGenesis2 ヨンキの様子が一日中おかしかった。

ヨンキに避けられてると気付いた私は、ヨンキが行きそうな場所を手当たり次第あたった。

ヨンキを見つけると、ヨンキは事務的に会話を続けてきた。まるで私をからかっているかのようだった。

ヨンキのように聡明な子は、神経が過敏になりがちだ…

ユマがどのような複雑なデータ処理を行っているのかまったく推測できないのと同じように、ヨンキが何を考えているのかも読めなかった。

そこで、素直に伝えてみた。やっと仲良くなれたと思ってたのに、傷ついた、と。

するとヨンキは笑って、少し緊張がほぐれたようだった。私は、食堂で一杯おごるからそれを足掛かりにしようと申し出た。

何杯か飲んだところで、ヨンキは夫と息子たちの写真を見せてくれた。

ヨンキほどの若い青年が家族を持っているとは、思いもしなかった。

私はヨンキがずっと徹夜で働かされていることを考えて先輩風を吹かし、数日間家に帰るよう指示した。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#12[]

NoteSantiagoGenesis2 どういうつもりかとヨンキを問いただしたのは間違いだった。

自分がどういう答えを期待していたのかわからないが、その答えは私の経歴に関する「陰謀論」についてなどでは決してなかった…

ヨンキは家族と過ごした後でもまだピリピリしてるようだったから、食堂に連れ戻して飲み勝負を挑んだ。

何ショットか飲ませただけで、ヨンキはすぐに白状した。

まずは、戦争終盤で私が殺されたという噂を聞いたと吐いた。

それから証拠を掴むために私の人事ファイルにアクセスしたが、ロックアウトされて終わったと認めた。

さすがにやりすぎだったと認めたが、私は笑い飛ばし、まだこうして一緒に飲んでるだろうと安心させてやった。

だがすぐに、笑えなくなった。アーカイブの中に、ヨンキでもアクセス不可能な私のエングラムリストがあったと言うのだ。

そんな情報は初耳だ。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#13[]

NoteSantiagoGenesis2 あの子に私の人事ファイルを覗き見る権利がないことは分かっているが、信心深いヨンキが過去の敵を信頼するのに苦労している理由も理解できる。

彼の偏執的の部分に理解がありすぎるのかもしれない…
私は愛国者ではないが、トランスヒューマンが私たちに侵略的な集団意識を植え付けようとした戦時中のプロパガンダをすべてなかったことにはできない。

ヨンキが間違っていることを証明したかったのだが、自分のファイルを見たとき、戦後の活動をまとめた部分に引っかかった。

Genesisに参加する直前の私の行動のほとんどが誤りのように感じた。

さらに、自分の業績記録にも違和感を覚えた。

もちろん、終戦間近の記録については身に覚えがあるが、それらの記憶について感じることは何もない。

どうも嫌な気持ちにさせられた。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#14[]

NoteSantiagoGenesis2 昨夜、自分の記録を見て恐れおののいた後、数時間データベースをランダムに検索して自らの形跡を隠そうと努めた。

最初の大きな混乱はヨンキの部門によってもたらされた。彼らはどういうわけか、エミュレーションとアーカイビングの間で、2つの異なる歴史的アイデンティティをもつれさせていた。

アルタ・カリフォルニアの金の探鉱者(支配的人格)に、ローマ帝国初期のアレクサンドリア派のオカルト信仰者の記憶が付与されていたのだ。

このもつれをほどき、再コンパイルするには大きなリソースが必要となるため、ダウンタイムに修正できるようにフラグを立てておいた。

2組の遺伝子を混合すれば、自然発生ではあり得ない新たな生命が誕生するだろうが、それは2つの魂を無作為に縫い合わせるようなものだ。

警告フラグによって哀れな生命に肉体が与えられることがないよう願っている。

AIが異常なエングラムを再び世に出すようなミスを犯すとは思えない。

この件は私を悩ませることになるだろう。正直に言うと、知らずにいられたらどんなによかっただろうと思っている。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#15[]

NoteSantiagoGenesis2 昨日ヨンキのアーカイブで台無しになったエングラムが見つかった件で、ヨンキが辞職を申し出てきたが、 代わりに仕事を早めに切り上げて食堂で一緒に飲むよう命じた。

自分の被害妄想について相談できる相手があの子しかいないなんて癪だが、そもそも私が疑いを持ち始めたのはヨンキが原因なのだ!

それに、そもそもこの妄想がありえるかどうかを判断できるのも、ヨンキしかいない。

私のエングラムも含め、ヨンキのチームがすでに無数のエングラムをブレインバンクに保管していることはわかっていた。

彼らが蘇生用にエミュレートもアーカイブも行わないと同意したからこそ、私はプロジェクトに参加したのだ。

まあ私が反対したところで、どのみち彼らは実行できただろうが。

もしも、ヨンキが耳にした噂が真実だったとしたら? 私は本当に戦争終盤で死んでいたのだったとしたら?

トランスヒューマンたちが私の記憶を改竄して別のコピーを起動したという想像は、それほどありえない話だろうか?

もしかして私は、「サンティアゴ2.0」なのだろうか?
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#16[]

NoteSantiagoGenesis2 ユマを問い詰めると、認めた。私はサンティアゴのクローンだと。

性格をバックアップして、その性格を入れる新しい体を作るのにかかった時間をカモフラージュするために、ウソの記憶を埋められていた。

ユマは、私が最も恐れていた被害妄想を事実だと認めた。その態度に少しでも後悔の念を感じられればよかったんだが。

理性を失っていた私をよそに、ユマはただ後ずさりして待っていた。

私が騒ぎ疲れると、世界を救うためだったと言い放った。

ユマにとっては、目的を達成するためにはどんな方法でも正当化されるようだ。

アーカイブには保存しないという条件でGenesisに加わったときには、私はもうすでにバックアップから復元されてたらしい。

これまでに人類が担った中でも最重要の指導的役割を与えられていたそうだ。

私のように世界を変えたり財産を残すことを生涯願い続けた政治家や軍司令官が、大勢いたとまで言われた。

感謝するとでも思ったのだろうか?

信じられない。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#17[]

NoteSantiagoGenesis2 命をもう一度与えられたと言っても、一体どうすればいいのか分からない。どうせまたアーカイブから呼び戻されるのなら、尚更だ…

ある意味で地球共和連合のトランスヒューマンたちは、あの忌々しい技術を使って私を延命させることで、私に復讐しているのかもしれない。

やり直すチャンスをもらってありがたいと思う人もいるかもしれないが、私は太陽の下での生活が忘れられない。

ユマが言うには、私は最初は戦いを終結させ、英雄として死んだらしい。

その言葉を鵜呑みにするしかない。なんせ、その記憶は消されてしまったのだから。

サンパウロで過ごした幼少期のことは覚えている。あの人生では連邦のためにTEKギアや軍需品を設計していたが、あの男と私はもはや別人だ。そうだろう?

遠い未来に別の星に移住するために再びエングラムをクローン化されたとしても、どうせそのサンティアゴは今の私のことも覚えていない。

まあ、その方がいいのかもしれないが。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#18[]

NoteSantiagoGenesis2 ユマがすべてを認めたと、ヨンキに伝えた。そして、私はヨンキと違っていつでも自分のファイルを調べることができたという事実も思い出させてやった。

するとヨンキは、自らの名前でデータベースを検索し、アーカイブの中に夫と娘たちを発見したと言った。

ヨンキにとっては、同意があろうとなかろうと、生活と労働のためにここにやって来た瞬間からスキャンされエミュレートされているように感じたのだろう。

敵に期待した自分が馬鹿だったと言ったため、我々はもはや敵ではないと念押ししなければならなかった。

かわいそうに、本当に思い詰めているようだった。しかし説得したことで、なんとか納得してくれたようだった。そう願うばかりだ。

世界を救うには、あの子の力を借りてGenesisを終わらせなければならない。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#19[]

NoteSantiagoGenesis2 ユマが押しの強いタイプだとは思っていなかったが、今朝は私たちのスケジュールを調整した上でファームに連れて行ってくれた。

プロジェクト班から飛行機を借りたので、酒泉市から出る軌道シャトルに乗ることができた。

私は何年も地上にいたため、無重力に四苦八苦した。

ユマはそんな私を見てがっかりしていたのかもしれないが、それを表情に出すことはなかった。

ファームはセレンゲティの上に広がっていた。

種の包含を巡ってバイオテクノロジーと格闘していた長い時間を考えると、パドックを歩きながら本物を間近に見られるというのは不思議な経験だった。

立ち止まって生まれたばかりのクローンマンモスに触れようとすると、鼻を手首に巻き付けてくれた。

実験動物と心を通わせることになるとは思っていなかったが、しばらくそのままでいたいと思っていたのは私だけではないようだった。

忘却から引き戻された2つの迷える魂が、お互いを支え合っているかのようだった。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#20[]

NoteSantiagoGenesis2 ファームにいたとき、アレシャを見つけ出して尋ねた。軌道上に輸送される土や岩の汚染を、なんとかして完全に除去できないかと。

無茶なことを言うなと言われた。

当然だ。未加工のエレメントが、他のあらゆる金属の鉱脈と共に地表から打ち上げられることになっていたのだから。

あれほど大量の金属からゼノトキシンを除去できる技術など存在しない。少なくとも、そこまでの時間的猶予はない。

そこで思いついた。長時間にわたる輸送時間を使って、MEKでバイオームを浄化したらどうだろうか。

コロニーシップが移住可能な星を見つけるまで、どれほどの時間がかかるかまったく分からない。何千年も銀河を飛び回る可能性だってある。

汚染除去は、船内をうろつく機械の助けをもってしても、大変な仕事となるだろう。

そんなことも知らずに私は、ファームの牧草地を闊歩していた、例の更新世の巨大な馬のTEKバージョンの構想に取り掛かっていた…
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#21[]

NoteSantiagoGenesis2 ファームは、コロニーシップの人工バイオームとユマのARKネットワークのためのプロトタイプだ。

ああ、そう言えば…

言い忘れていたが、地球へと戻る途中にユマに言われた。トランスヒューマンたちは、我々がコロニーシップを離陸させ次第、ARKのコンセプトを推し進めるつもりのようだ。

トランスヒューマンは計画に多様性を持たせることで、人類の長期的生存確率が最も高くなると考えている。

最適な生存結果を狙って生物形態を試験するために、衛星実験場ネットワークにある我々のアーカイブバージョンを利用したがっている。

そして最適な候補を選出次第、軌道上から地球を解毒して種を撒きなおそうとしているのだ。

トランスヒューマンが強化されていない普通の人類を再び住まわせるつもりだと聞いたときは衝撃だった。

クローン体を使って死人を蘇生させるなんて幾分超人間主義が過ぎるかもしれないが、彼らの世界再建計画に彼ら自身が含まれていないという事実は特筆に値する。

このことをどう解釈すべきかは分からないが。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#22[]

NoteSantiagoGenesis2 研究開発担当の技師たちは、すでに将来の世代のためのツールやギアの開発で忙しくしているため、さらなる負担をかけることを申し訳なく思う。

自分の設計したものに価値がないなら、これ以上負荷をかけるようなことはしなかった。

だが、大規模な自動化を進めない限り、コロニー船のバイオームからエレメントの汚染の痕跡をすべて見つけて除去することはできない。

そこに価値があるのなら、権力を乱用するのも一つの手だ。

加えて、軍事技術とは無関係のものを設計するのは気分がいい。

かつて戦場の汚染に一役買った毒素をこすり落とすというアイデアも気に入っている。

今はこのアイデアを除外するべきではないだろうが、ユマも現実世界で私が考えたストライダーのプロトタイプを見れば納得するはずだ。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#23[]

NoteSantiagoGenesis2 安全なチャンネルを通じてアレシャにストライダーの案を共有すると、コンセプトの改善に役立ちそうなすばらしいフィードバックをくれた。

クルーたちが任務中にストライダーに鞍を装着したくなった場合に備えて、あのMEKの役馬に交換可能な器具を複数取り付けて機能性を上げ、マニュアル操作を導入したらどうかと提案してくれた。

いい考えだ。

戦場の汚染物質をサンプリングしていたときにストライダーが欲しかったと言われたときは、少したじろいだが。

だが、おそらく知らないだけだろう。自身が研究していた被害を招いた兵器の多くを設計した張本人は、この私だということを。

少なくとも、そうであってほしい。

今度ファームでストライダーに乗せてやると約束してから、通信を終了した。

しかしあれほど巨大なものがドスドス歩き回ったら、せっかく軌道上まで打ち上げた人工生態系が破壊されたりはしないだろうか。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#24[]

NoteSantiagoGenesis2 まだ信じられない。1日休みを取って一緒にホバーセールするよう、ユマを説得できたなんて。

ホバーセールは初めてだとユマは言っていたが、手を貸さなくても十分にできていた。

バランスの取り方や風の乗り方をわざわざ見せなくても、一人で身に着けていた…

必要なスキルは何でもその場でダウンロードできるのかもしれない。

それは一体どんな気分なんだろう?

夕食を食べながらエルチョロ峡谷の風の壁に乗ったときの話をしていたとき、急にユマに無視された。

まるで誰か別の人間がユマの目を通してこちらを見てるようだった。

MEKのプロトタイプに研究開発費を流用している理由を聞かれ、私は顕微鏡に置かれた細菌みたいにおろおろした。

ストライダーについてはなんとか弁明できたみたいで、ユマはまた突然元に戻った。

ユマは頷くと、まるで何事もなかったかのように、再びフォークでカリフラワーをつつき始めた。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#25[]

NoteSantiagoGenesis2 昨夜のユマとの奇異な時間を通して、私が彼女のことをまったく知らないということが明らかになった。

人間が生活の中で行う、お互いの話を聞く、たそがれる、計画を立てるなどのすべての意識的な行為は、トランスヒューマンにとっては自動的に行なうものなのだろう。

人間が呼吸に集中する必要がないように、それを望まない限りは、そのことについて考える必要がないようだ。

彼女たちが本当の意味でどのように考えたり感じたりするのかを理解することはできないのだろう。

理解しようとすることすら時間の無駄に思える。

私を連れ戻してここに閉じ込めることを決めたのは彼らだ!

私が故意に彼らを苛立たせようとしていることに彼らが気付くことはあるのだろうか?

今から中央処理場に行って彼らの大切なアーカイブを削除すれば、ようやく注目を集めることができるかもしれない。

そこに行って、EMPでも作動させれば何もかもすっきりするだろう。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#26[]

NoteSantiagoGenesis2 大丈夫、もう落ち着いた。

この心の傷は一旦忘れよう。私がミッションに持ち込んだこのプロジェクトをリスクに晒すようなことは絶対にしない。

私は人生の大半を、何かを破壊することに費やしてきた。その償いの機会を無駄にするわけにはいかない。

種を絶滅から救えるかどうかは、この手にかかっている。

この愚かなプライドを捨て去ることで生き延びるチャンスがあるのなら、喜んでそうしよう。

私は人間だ。それ以上でも以下でもない。

彼らは私の意志に反して私をクローン化し、それを覆い隠すために大量の偽りの記憶を植え付けた。彼らの一員になってほしかったのだろう。

ユマは私のことを生まれながらのリーダーだと言った。そこには何か意味があるはずだ。

私はトランスヒューマンの恩人たちを少し羨んでいるのかもしれない…

彼らの気持ちをすべて脇に置き、世界を救うために何が必要かということに集中できるなら、どんなに素晴らしいだろう。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#27[]

NoteSantiagoGenesis2 ヨンキからGenisisエンジンで実行している新しい訓練シミュレーションを試すように頼まれたとき、私は軌道を再び下降していた。

意思に反して自分がアーカイブされていることを彼自身が知って以来、彼とは会っていなかったので、気乗りはしなかったものの彼の研究室に向かうことにした。

彼は私たちを自身のシミュレーションに繋いだのだが、それはすでに実行済みの北極のシナリオと同じように見えた。

ヨンキは空中で何かのダイヤルを回すと、風が大きく鳴り始めた。

それから、お互いの毛皮のフードが触れそうになるほど身を乗り出すと、誰にも聞かれない場所で話がしたかったと言った。

彼はユマが「私に近付いた」かどうかを知りたがった。

私は、それは見当違いだと言った。

長い沈黙の後、記録の件で彼女と対峙する際にはそばにいてくれるのかと聞かれた。

私がうなずくと、彼はシミュレーションを終了させた。

オフィスに戻る間、もし私が断っていたら極寒の中に置き去りにされていたかもしれない可能性について考えていた。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#28[]

NoteSantiagoGenesis2 今朝3人で会ったときに、ユマが認めた。本人の同意なしにヨンキをアーカイブ用に記録したのは、間違いだったと。

ユマはそれから、私のときと同じ手口でヨンキを説得した。ヨンキは人類の存続のために不可欠だとか、大事なのは結果だとか。

ヨンキは、ユマは非人道的だと言っていた。

ユマがヨンキを大事に思っていることを証明したいと言うと、あの子はユマに飲み勝負を挑んだ。

ヨンキは一晩中ユマから情報を聞き出そうと必死だった。

だがしっぺ返しを食らった。ついにしびれを切らしたユマが、地球上の全人類に残されている時間がどれだけ少ないかを吐いた。

その知らせを我々が理解したとき、ヨンキが言った。残りの時間は家族と過ごしたいと。

ユマは、もし酔いが覚めても同じ気持ちだったら辞職を認めると言った。

ヨンキは今すぐにでも家に戻って明日の夕方すぐに辞職すると言い張っていたが、辞めてほしくはない。
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#29[]

NoteSantiagoGenesis2 今朝、ヨンキが幽霊のように真っ青な顔で本部を歩いていた。

ただの二日酔いなんかではなさそうだ。

私には分かる。私も最近、同じ目に遭った。

アーカイブユニットに向かってさまよい歩いていたヨンキをオフィスに連れ込んだ。

ヨンキは目の焦点も定まらないまま、もう辞めたいと呟いていた。

理解を示すために、私はヨンキを抱きしめた。

するとヨンキは、私の耳に何かをささやいた。その内容は、生涯忘れられないと確信できるものだった。

ヨンキのベストから放たれた超高温のプラズマが私たちを襲ったのは、それから1秒も経ってない。
しかし今、私たちの肉塊は逆方向へと飛び、再び統合されようとしている。ユマは、ヨンキの最期の言葉を食い入るように聞いている。

そして今、私たちはまたもや飛び散り、まるでユマがそこにいないかのように、ユマの体を通り抜ける。当然だ。ユマは実際には私のオフィスにはいない。

あの爆発のときに、私という存在は消えたのだ。あるいは、あの爆発の直後にか。

今の私は亡き「サンティアゴ2.0」のエミュレーションで、ユマの忌々しいGenesisエンジンによって動かされているに過ぎない。

惨めなものだろう?
~ サンティアゴ

サンティアゴの記録#30[]

NoteSantiagoGenesis2 これで最後だという約束で、廃墟と化したオフィスのシミュレーションでユマに再統合された。ヨンキの最期の言葉を私から聞き出し、検視を終わらせるためだ。

ユマを失望させてしまい、申し訳なく思う…

時間が足りず、神経インターフェースにあの子の言葉を記録できなかった。

私はユマに聞き返した。ヨンキは辞めるときに何と言っていたのかと。

ユマが言うには、ヨンキはトランスヒューマンによって妙な未来に――それも自分たちとは無関係の未来に――家族を蘇生されるのには、もううんざりだと言っていたそうだ。

ユマのアバターの顔からはまったく表情が読み取れないが、私の知覚エミュレートのバグのせいかもしれない。

その後ユマが謝ってきたときには、心底驚いた。秘密を隠していたことと、私の安全を守れなかったことに対する謝罪だ。

Genesisへの私の功績に対して礼を言い、未来の別の私が目覚めたときのために幸運を祈ってくれた。

私はこう答えた。「心配はいらない。今まで通り生き延びていくだけだ」

それを聞いたユマはなんと、微笑んでくれていた。

シャットダウンされるときも、この感情を忘れずにいたい。
~ サンティアゴ
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